「おはようございまー・・・す？」
***８***
Ｉｎ Ｂｕｓ
早朝５時。
日が昇り始めている空は少しずつ明るさを増していた。
そんな中、校門の前では異様な人の集まり。
遅れたわけではないのに・・先輩、後輩、同級、全員揃って・・・。
「待て待て！！順番だ順番！！クジ引いてもまだ見ないでくださいよー」
集まりの中心にいるのは、箱を抱えた一年の・・・天国。
周りの人たちの何人かを除いてほとんど人は、そこから紙を引いていた。
「じゃあ、せーので開きますよー・・・・・・せーーの！！」
「あのー・・・おはようございます」
「「「「「ぎゃあぁぁあああ！！！」」」」
なんだかもの凄く驚かれている。
挨拶したのに気づかない皆が悪いんだ。
「Ｎａ・・、心臓に悪いＺｅ」
虎鉄は右手に持った紙を握り締めながら、ふぅっと息を吐いた。
「俺は化け物かよ」
「そうだ、先輩！せーのって言ってください！！」
前方にいた天国はいつのまにか目の前で俺の手を握っていた。
とたんに、部員全員の蹴りの荒らし。
「・・・皆、朝から元気だな・・・。ま、いいや！いくよー、・・・せーーーの！」
「先輩ずるいっすよー！飴あげるんで交換してくださいよー」
今はバスの中。
あのもめごとは席取りのためのクジだったらしい。
・・・女マネとかかな？
「あの、先輩。名前教えてくれませんか？」
なんだかまだ騒がしいバスの中、私は隣の先輩に話しかける。
「・・・。なんだ、先輩の名前も知らないのか。・・・鹿目筒良なのだ」
桃色の髪と頬が印象強い、その先輩はちょっとムッとした。
「すいません！でも、もう覚えましたよ！ 俺はです、よろしくお願いします、鹿目先輩！」
ニコッと笑うと、鹿目先輩の頬がさらに赤くなったような気がした。
なんだか先輩なのに可愛らしいな・・・！
「・・・・筒良でいいのだ。・・・・」
視線は前の座席に向けたまま、鹿目先輩はなんだか照れてるように言った。
そんな表情に少し驚きながらも、私はなんだか嬉しかった。
「・・はい、筒良先輩！」
「なぁなぁ、！合宿行ったら一緒に寝ようＮａ！」
「何言ってんすか！先輩は俺ら一年が借りるんすよー！」
「は？！なな何勝手に決めてんだよ！！」
虎鉄がの後方の席から叫び、それに続いての前方に座っている天国も叫びだす。
座席に膝立ちし、騒ぐ姿はまるで小学生。
「そうだよー、は僕達と枕投げするんだもんねー！」
続いて比乃が膝立ちし、他の人より少し低く顔を出す。
「枕投げ？！ 参加したい！」
楽しそうな遊びは体験したいと私はバッと手を挙げる。
「が参加するなら俺も！」
「俺も参加ー！」
それに続き、何人かの人も手を挙げ、車内はまた騒がしくなった。
合宿場所場ではあと１時間ほど。
は座席に座りなおし、鹿目先輩の隣でよかった、と安堵の溜息をついた。
「・・・先輩は・・ポジション、何ですか？」
の声に鹿目はの方を向く。
少し眠たそうなは必死に起きてようと目を擦っている。
「僕は、ピッチャーなの・・・だ、・・・・？」
カクッと眠気に耐えられなかったの体が揺ぎ、ふわりといい香りがした。
鹿目にもたれかかるような体制のの瞼は閉じていた。
「・・・」
閉じている瞳
長いまつ毛
揺れる髪
覗く首筋
「ッ・・何を考えるいるのだ、僕は・・！ は男だぞ」
ボゥッとを見つめていた視線を逸らし、鹿目は自分の口元に手を当てた。
自分の言った言葉を留めるように。
「・・・・」
何も言わず、その様子を眺める犬飼。
本当は今すぐと先輩の間に割り込んでいってやりたいが、そんなことはできるはずがない。
感情を抑えるようにギリッと下唇を噛んだ。
俺は可笑しいのか？
は本当は女・・・本当に言い切れるか？
嘘ではなく男かもしれない。
いや、その可能性のほうが高いのではないか？
・・・・わからない。
何も。
「・・・やっべ」
「これは犯罪だＲｏ・・・？」
「可愛すぎっすよ」
「先輩うらやましすぎ・・・」
一同が見つめる先には、と鹿目。
は鹿目に擦りつくような体制で眠っていた。
少し上向き加減の寝顔は猿野いわく『キスしていいよ』って感じの顔らしい。
もちろん猿野はいち早くバスを下ろされた。
の寝顔に見入っていた一人がハッと気づく。
「誰が・・・を起こすんだ・・・・？」
また、バスは騒がしくなる。
更新遅れてすいませんでした！！
なんかもう、日常茶飯事になってきてて・・・；
ちなみにバスとなりの席はあみだくじで決めました！
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