只今、私・・いや俺、(女だけど男)は閉じ込められています。
犬飼冥と共に。
きっとこれから犬飼ファンの子達に血祭りにされるんだ・・。
***3***
初っ端ピンチ
「・・まぁ、いっか」
「・・いいんすか?!」
「うん。次数学だったし。嫌いなんだよね、数学。 あ、あと敬語いらない。もう俺たち友達だし」
いつものニカって笑顔を自然と向けたら、犬飼はまた赤くなった。
「・・? なぁ、犬飼・・なんてゆーの?」
「犬飼・・冥・・っす」
“冥”のところを小さく言う犬飼君。
名前気にしているのだろうか・・?いい名前だと思うけど。
「冥?・・なんか可愛い名前だな!すんごい気に入った!! 犬飼じゃなくて冥って呼ぶから!」
冥は少し困ったような怒ったような表情をしたけど、最終的に赤くなった。
「俺は。女みたいな名前だけど男だから、残念」
にひひって笑うと犬飼は少し真剣そうな表情になった。
「・・・。先輩は・・」
「。俺あんまり苗字で呼ばれるのって好きじゃないんだよね。
なんか他所他所しくて。それに“先輩”いらない、友達なんだし」
「・・・。・・は。・・・は本当に男なのか・・?」
じっと見つめてくる瞳とその低い声に、ビクッとした。
・ ・ ・ バ レ て る ?
「なな何言ってんだよ、冥?! 女みたいな名前だけど男だってさっき言ったばかりだろう?!」
初日でばれるなんて、どうしようもない。
まだバットを一振りだってしてないってのに・・!
「・・・プッ。 そんなに本気になって、っておもしろ・・」
吹き出してから、クックッと冥は笑った。
「な・・?! おま、かからかった・・?!」
「トリアエズ、が女だったら、こんな体制やばいなと思って。俺が襲ってると思われる」
「そ、そうだろ?! どうすんだ?!いいぞ?俺は男なんか興味ないけど、襲ってみるか?」
なんとか反撃と強気でいく小心者の俺。
「いいんすか?」
「い、いやいやいやいやいや、冗談です!!」
さらに言われて、俺の完敗・・。
「俺だって冗談」と笑いながら言う冥。
冥は意地悪だと確信した。
「・・冥は俺が女に見えたのか、あの最初の時」
少しこの体制にも疲れてきた俺はもぞもぞと動きながら冥に聞いた。
「ん? あぁ。・・とりあえず、逃げようと思った」
それに気づいたのかなるべく体を離して隙間をつくってくれようと冥も動いた。
「あ、冥、気にすんな、冥の方がその体制疲れんだろ? ・・・冥はかっこいいのに女苦手なんか?」
「・・かっこいい? とりあえず女は苦手だ」
「そぉか」
あぁ・・なんか本当に疲れてきた。
ん?なんだ?目眩ですか・・これ・・?
くらくら〜って・・うわ〜・・。
「・・? !おい?大丈夫か?!」
「う、ん・・へ・・き・・・」
そのまま首がかくっとなるのが分かった。
そして体が落ちていくような感覚も。
犬飼が抑えてくれなかったら、床に倒れたところだろう。
・・さらにごめんな、犬飼ファン・・。
「お、おい!?? ・・・気ィ失った・・?」
倒れたを抱きとめながら、犬飼は焦りの声を上げた。
犬飼に比べ背の低いは犬飼の胸辺りに顔がある。
そっと覗き込むとやはり気を失っているようだった。
その寝顔・・というべきか、顔を可愛いと思ってしまう自分にかなり驚いた。
「・・ッ。は男だってさっき聞いたばかりだろ・・」
を肩に担ぐようにして抱き上げる。
・・軽い。
まぁ身長がこんなもんだから、普通なのか・・?
「とりあえず、・・ここを出るべきか・・」
自分の後ろにある扉に思い切り背中をぶつける。
ドガッと音はしたものの、扉は開かなかった。
「・・くそッ・・」
もう一度。
扉がきしむ。
もう一度。
開きかかる。
もう一度・・
ガダーーンッッ!!
扉は勢い良く外れ、廊下の反対側の壁にぶつかった。
勢いあまった力でバランスを崩しながらもをひっしと抱きかかえ、走り出した。
目指すは保健室。
あれま。
今回で犬飼がでしゃばるのは終わりだったはずなのに。(ぇ
終わらなかった。次回ですな。
話に進展がない&Allじゃなくてすいません。
こんなこともありますよね!!(いいわけしないの
それに、犬飼くん性格ちがくてすいません。
偽者になりかけてますが、うちの犬飼君はこんなんです。
女と知らなければ、そういう事だってふざけていいます。
いやからかってるのか?

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