「おはようございま〜す!」




「Oh、おはYo〜」

「おはよぉっちゃ・・」



風のように走っていった。


一人の男子高校生。


学ランの、見たこともない後姿。



不意に思う、素朴な疑問。




「・・・猪里。あんな奴・・ここにいたKa?」













***1***
   
Game Start!














今、始まりの鐘がなる。



――・・キーンコーンカーーンコーン・・



そう、キーンコーンカ・・。



「ちがぁぁあう!!」



こう、もっと格好良くさぁ・・!

今、旅立ちの時! みたいなさぁ・・!


・・あ。


途端に前を歩いていた生徒がこちらに振り返る。


驚きの表情と共に好奇の眼差し。



「・・あ。あ〜その、いや、すいません・・」


と独り言のように言うや否やパッと走り出してその場を回避。



目指すは職員室。



なぜなら今日から私・・・いや俺は十二支高校の男子生徒になるからだ!


あ、いや別に好き好んで男子生徒として十二支に入るわけじゃないんだぞッ






『野球やりたいよ〜、おかぁさん・・・』


『あら、またその話?』


『だってだって、ひどいじゃんか〜。なんで女子野球部ないのぉ?』


『そんなことおかぁさんに聞かないでよ〜』


『ぶふぅぅ・・・』


『ほら、そんなぶちゃくれた顔しないの!』


『ぶ、ぶちゃくれ?!』


『フフ・・♪ おかぁさんね、そんなぶちゃくれたのためを思って良いことしてきてあげたのよ〜?』


『ぶちゃくれ、ぶちゃくれうるさいッ!!・・・で良いこと・・って?』


『じゃじゃ〜ん! ほら?・・・ま、なんて顔してるのよ! あなた、明後日からこれ着て十二支高校行くのよ♪』


笑顔のおかぁさんは私サイズの学ランを両手に持ってフフン♪と言いながらくるりと回った。


『・・・・・・』


『何よ、? 嬉しくないの?折角転校の手続きしてきたのに・・。野球できるのよ?や・きゅ・う!それにあの十二支でッ!』


『うん・・・。うれしいよ・・』


はぁと小さくタメ息。この間やらされたテストはこのためだったのか・・。


『ねぇ〜!そうでしょ?フフン♪おかぁさん偉いでしょ?』


『・・・。でも・・なんで学ラン・・?』


『・・え?当たり前でしょ?だって男子野球部しかないもの』



















それなら、前にいた高校にもあったのに・・・。


結局“それ”が目的だったんだ・・学ラン・・。


あれは本当に私、いや俺のおかぁさんなのか・・?


はぁ、にしても・・・



「『おかぁさん、男の子ってほしかったのよねぇ♪夢みた〜い!』
・・じゃあねぇよ!!



スパーーンッ!!    ・・ガキャッ



「・・あ、ありゃ・・」



勢い良く開けたドアはものすごい音を立てて・・外れた。



「・・すいません」



ペコリと頭を下げてからいざ担任のもとへ。


・・職員室の先生の視線は痛いものだった。





































「・・・ということで、転校生の君だ。皆仲良くしてもらいなさい」



よくある紹介を受けて・・いや、最後のは珍しいかな・・。


自己紹介をはじめようと意気込む。


よし、準備はバッチリ☆



「じゃあ、自己紹介してもらえるかな」


担任が穏やかな笑顔でそう言った。



「はい」


ニカっと笑ってそれに答える。


よし。




 。 女みたいな名前ってよく言われますが、男っす。野球部に入ろうと意気込んでます。 
 
 何にも分からない上、転校とか初めてで心細いんで構ってやってください!」




ペコッて頭を軽く下げてからあげる。


それから、いつものニカっていう笑顔。


第一印象は大事だし!



一瞬静かになったクラスから盛大な拍手と笑い声。

それから「かわいーな!」の声。


・・えぇ?! 誰だよ今言ったの?!




「じゃあ、。その窓側の席・・虎鉄!手を挙げろ」


「はい?」の声の後に両手を挙げる虎鉄とか言われた人。


途端にまたクラスは笑いに包まれる。


私・・いや俺もつられて吹き出した。



ここで・・十二支でやっていけると、良く分からない確信が持てた。


楽しく過ごせる気がした。過ごそうと思った。





「じゃあの、指名手配犯みたいに両手挙げてる馬鹿の前、座ってくれ」



担任はやっぱり笑顔で俺に言った。



担任も、生徒も誰一人として知らない。



俺の真実。




「はい!」



秘密がある。


なんだかワクワクした。



ニカって笑って、俺は虎鉄とかいう人の前の席に向かう。


途中で、早速何人かのクラスメイトが構ってくれた。


おい〜!頭ぐちゃぐちゃ撫でるなよ!!








「Yo、。俺は虎鉄大河だZe!」



「おぅ、よろしくな。虎鉄」



「・・・N?」



虎鉄は少し表情を変えた。



そしてまたへらっといや、にやっと笑った。



「?」











今日から始まる、俺の新しき高校生活。


幸先順調、天気は良好ッ!


ワクワクして止まらなかった。






















虎鉄は前の席に座って、妙に浮かれているを見た。



か、・・可愛いやつだNa」



浮かれているの耳には届くはずもなかった。





































初めて始めてみました、連載!ミスフルフルフル―チェ!!(妙なテンション)
前からやりたくてやりたくて、やっと書けた・・v
しかも今受験勉強期だというのに・・ッ!
ってかまた連載始めて、更新できるの?あなた?という状態。
が、がむばります・・!
ということで、伶でした!これからもよろしくおねがいしま〜す!(何



   



BGM*【Message】
from Senses Circuit