やっぱり

そううまくは

いかないよね。


だって・・・現実だもの。



















赤色の救世主





















美形兄妹との対面から一日たって、今は静かな午後を迎えている。

殺風景な部屋の真ん中に胡坐をかき、ぽやっと考え事にふける。

いーくんは、

「僕は大学に行かなくちゃいけないんだ。ちゃんも連れて行きたいのは山々なんだけど、
 可愛い可愛いちゃんに変な男がついたら大変だし、こう僕が帰ってきたときに
 『お帰りなさい、いーくん(ハート)ご飯にする?お風呂にする(ないし)?それともわたs
「いってらっしゃい、いーくん!気をつけてね!」

とか何とかで、大学へ。


人識は、

「あぁ、一緒にいたいのに・・・なんだか・・こう・・嫌な気配がすんだよな・・・。
 オールバックやら赤色やらの匂いと気配が・・・・
ぐはぁッ!!

とか何とかで窓から飛び出ていってしまった。

オールバックと赤色とは何なのだろう?




兎にも角にも、やっとゆっくりと考え事が出来る時間が出来たのだ。




「一番最初に考えなくちゃなのは・・・住居と、服と、お金・・・・と食料」


いつまでもいーくんと家に居座り続けるわけにもいかないし。

かといって、宛てもなし。


いつまでも自分の服といーくんの服ってわけにもいかないし。

かといって、お金もなし。


いつまでも、いーくんに奢ってもらうわけにもいかないし。

かといって、お金もなし・・・・・。




ばたむ。




畳に顔を突っ伏し、うつ伏せ大の字。

ほのかに畳の匂いがした。


数秒の停止後、うぅ、と小さく唸ってから顔を横に向ける。

目に映るのは押入れの襖。



・・・無性にやるせなくて、涙がでてきた。




「私・・・何にも出来ないじゃん・・・・」





と、聞こえてきたのは鍵を開ける金属音。


ガチャガチャッと数秒、すぐにカチリとロックの外れる音がした。

いーくんかな?早いな。



「・・・・おかえり、いーく・・・・ん?」




「んぅ?・・・あれ?いーたんちだよな?ここ」




そこにいたのは赤色の人だった。



























「へぇ・・そうだったんだ。いーたんたら、この潤様にこんな可愛い子のこと報告しないなんて躾直し決定だな」


私がどうしていーくんの部屋にいるのかを掻い摘んで説明すると、赤色の人は長い腕を組んで舌打ちをした。


長い手足に、整った顔立ち。

バランスの取れたナイスな体形に、気取らないしゃべり方。


それに赤色がよく似合っていた。

大人の女の人ってこういう人をいうんだな、と心の中で納得した。


「おっと、そうだった!私の名前は哀川潤、下の名前を呼ぶこと。請負人をやってるわけで・・・可愛い仔猫ちゃんお名前は?」


綺麗な笑みを浮かべた潤さんが私を見る。

なんだかドキッとした。


「あ、といいます!」


ちゃんかぁ・・・ホンット名前まで私好みで可愛らしくて、お姉さんときめいちゃうなぁ」


ふふっと笑いながら近づいてきた潤さんは、私の顎をくぃっとあげた。


「じゅ、潤さん・・?!」


「いーたんいいなぁ・・・こんな可愛い子、手に入れて」


「可愛いなんて・・・めめ滅相もないですよ・・・!!潤さんの方が何億倍も素敵で・・・
うぎゅッ!!


「そんなが好きさッ!!ってことで
強奪★



抱きつかれたかと思ったら、抱き上げられ。

抗議の暇なく、いーくんの部屋を飛び出した。文字のごとく、窓から。




















「・・・・ちゃーん、大丈夫?」


潤さんに良く似合う真っ赤な車の助手席、放心している

ハハッと悪びれもない笑顔で、好調に車を走らせる潤さん。


「・・・はい、なんとか。・・・それよりどこへ・・・?」


「あぁ。うー・・ん、ちゃん実は色々困ってるだろ?」


「え?!なぜそれを?!」


「読心術という名のエスパー。ってことでその悩みを解決するため、潤様が一肌脱ぐってわけ」


ニッとシニカルに笑う潤さんは本気で素敵だと思った。

私もこんな人になりたいと思った。



「・・ありがとうございます・・・!」


涙と笑顔が一緒に込み上げてきて、可笑しな顔になっている気がした。



「・・・・ちゃん可愛すぎッ!!」


うきゃわぁあ!!潤さん潤さん、前見てくださいー!!






































にはキツイ色よりかは淡い色のがいいな・・。あ、待てよ・・これなんかいいな」


「・・・・・潤さん、こんなに着れませんよ」


試着室からいったい何分出ていないことか。

次から次へと潤さんが持ってくる服を試着し、披露し、潤さん歓喜。

でも潤さんの選んでくれる服は全部センスが良くて、バランスが良くて、ちゃんと私に合っていた。

その上、なぜだかサイズまでぴったりなのだ。


「あぁ、もうは何でも似合うな!さすがあたしの選んだ子!」




結局、試着したものの大半は買い上げ、靴からアクセサリー、しまいには下着まで潤さんが選んで買ってくださった・・・。






「・・・潤さん。やっぱり悪いですよ・・・」


荷物が溢れかえる車の中、は今更と思いながらも言った。


「何を今更。貰っておけばいいんだよ」


ハッと笑い捨てながら、潤さんはハンドルをきる。


「でもやっぱり・・・何かお返ししたいです」


「・・・・そこまで言うなら、・・ねぇ」


ニヤリと、この展開をあらかじめ予測していたように・・・潤さんは車を止めた。































遅くなってスイマセン!!
なんだか潤さん偽者でスイマセン!!

アンケートに回答してくださった皆様、ありがとうございました!
戯言、堂々1位でした!