冷たい感情が沸き起こった。

全てを飲み込んでしまうような、深い感情。



俺 が  を 殺 め る 



何の根拠も前触れもなく、


現われた欲望。














The ed Sky






















どのくらい走ってきたのだろう・・?


わからない。


何も考えられない。


恐いという感情だけが自分を取り巻く。



「・・ハァ・・ッ・・」



辺りは夕暮れ。


真っ赤な太陽のせいもあって世界はこの上なく不気味な色彩をしていた。


小さな洞穴のような所に身を潜め、呼吸を整える。



アイツに見つからないように。



右手に持っているのは大きいとは言えないサバイバルナイフ。

まだ誰も傷つけたことのない、血の味を知らない凶器。

これからも傷つけるつもりは、ない。


左手に持っているのは血痕の残る包帯。


「・・ッ・・冥・・」


両手でギュッと包帯を握り締め、そのまま額に当てる。


「・・無事なの・・?」


誰に問うでもない、独り言。


いつも一緒に居てくれた冥・・。

助けてくれて、護ってくれて、愛してくれた。

こんな状況でもそれだけは唯一変わらないことだったのに。


「・・め・・い・・ッ・・」


アイツのせいで、アイツが来たから。


冥は私を庇った。

私に逃げろと言った。

躊躇った。

なのに冥は、微笑んで言った。


『とりあえず、逃げろ。俺は後からを追う』


いつもの口癖を聞いて何故か安心した。

否、不安なのに安心しようとした。

私は逃げた。

アイツと冥の傍から。


「・・冥・・メイ・・ッ」


今だけは、少しだけは、冥が来るまでは、泣いてもいいと自分を許した。


涙はボロボロと情けなく溢れ、頬を伝う。




「・・早く・・来て・・」













「来てやったよ」








スッと冷たい空気が流れた。











冥じゃない






首筋に当てられた冷たく鋭い凶器。


少しでも動けば動脈を切ることになるだろう。


必然的に固まる私。



「おまたせ。これでも急いで来たんだぜ?・・



視線だけをソイツに向ける。

酷くニヤついた、大嫌いな顔。


「・・芭・・唐・・ッ」


ニヤリとさっきよりも楽しそうに笑うソイツ。

私を嘲笑う芭唐。


「・・冥は・・?」


ピクッとその名前に反応し、また笑う。






















「死んだよ」

























言葉の意味を理解するのに時間は掛からなかった。


認めたくない。


でもコイツがここに来た瞬間、予測してしまったから。


この結果を受け止める準備をしてしまったから、



悲しみはすぐに怒りへと変化した。




「嘘でしょ・・? 嘘だ!! ・・芭唐・・この・・!!」


「おっと、動いたらスパッといくぜ?」


クッと首筋のナイフが食い込み、皮膚の切れる、冷たさに似た感覚。


「・・ッ」


「ククッ・・。そうそう大人しくしときな。これからがお楽しみなんだからな、


喉を鳴らして今まで見たことの無いような黒い笑顔。

冥のとは正反対の加虐的な微笑。

背筋がぞっとする。


「ふ〜ん・・あのワンコの為に泣いてたのか?」


芭唐はナイフを持つのと反対の手で私の頬に触れた。

ビクッと自分が反応するのがわかった。


「・・触るなッ」


グッとナイフを持っている右手に力を入れる。

冥の仇・・いや、私の復讐。



「ククッ。強気だな。でもそんなナイフじゃ俺は殺せないぜ?」


ザッと一瞬で切りかかった。

風を切る音。

しかし、風だけ。


カランッ


「・・くッ・・」


手首を押さえられ、あっけなくナイフは遠くへと転がった。

芭唐に組み敷かれるような体制。


もう、殺される。


・・そんな顔するなよ。まだ殺しゃしねぇよ・・ククッ」


ニヤニヤとした芭唐の姿が逆光によって暗く見える。

より一層、恐ろしい。



「ま、ちょっとは大人しくしてもらわないとこっちも困るからな・・」


小首を傾げ何やら思考する。

そしてとてもとても面白そうに微笑んだ。


「決めた」


手首を押さえた芭唐の手が離れた。


「・・?」


瞬間、顔の真横に突き刺さるナイフ


「ッ?!」


頬に感じる冷たさ・・・血だ。


「くくくッ・・。あぁあ、もったいねぇ、あのワンころが好きだった長い髪、切れちまったなぁ?」


意地悪く笑う芭唐は明らかに面白がっていた。


「・・ハッ・・ハッ・・」


緊張と恐怖に荒くなる息遣い。

目を大きく見開いたまま、芭唐を睨む。


「・・ん? おいおい、まだそんな目で睨むのか・・?」


微笑を消し去り、スッと鋭い眼差しに戻った芭唐は、私に手を伸ばす。

冷たい手が私の喉に重なった。

心臓がバクバクと早まる。


ニヤリと芭唐が笑った。

私はその表情が大嫌いだ。


「そぉだ、その表情・・ククッ・・たまんねぇな」


喉を押さえた芭唐の手に力がこもる。


「・・ぅッ・・や、め・・」


自分の鼓動が早いのが分かる。

少しずつ、芭唐の手がキツクなっていく。


「ひッ・・ぁ・・ッ・・は、な・・」


思わず声が漏れ、片手で芭唐の手を掻き毟りながら、抵抗した。

芭唐の手は緩まない。

苦しい苦しい・・!!


「くくッ・・!!最高だなッ!」


芭唐は狂喜の表情を浮かべいる。

狂ってる。

狂ってる!!


頭の中でいくら悪態をついてもそれは言葉に出来ない。


「・・ひッ・・ぁ・・」


死ぬ・・・

このままじゃ。


「・・言えよ。ほら、助けてください芭唐様って言ってみやがれ」


「・・ひ、ぐ・・ッ」


なんでこんな奴に。

冥を殺したこんな奴に。


「・・んだよ?」


グッと強くなった力に息が止まる。

意識が薄れた。

・・・ヤダ、・・ヤ、ダ!!

・・冥、冥ッ!!


「ひぃぐ?!・・ぁッ・・た、け・・て・・さいッ」



の目は虚ろになり、口からはだらしなく唾液が伝わっている。

芭唐に抵抗していた力も今では弱々しい。

芭唐は目を細めた。


「・・ん? ・・で?」


「・・ッ・・ば、ぁ・・ら・・さまッ」


「まぁ。いいか」


スッと力が弱まった。


「か・・はッ!!・・ゲホッ・・ハッ・・ァ・・」


くくっと意味ありげに笑った芭唐がの頬にスッと手を伸ばした。

ビクッと体を強張らせる


冥のものとは違う、冷たくて冷たくて優しさの欠片も無い、芭唐の手。


イヤダ、サワルナ。


の顔の輪郭をすぅっと撫でてから顎をあげ自分を見上げさせる。



イヤダイヤダ、芭唐ナンテ見タクナイ。


くくッとあのいやらしい芭唐の笑い声が響いた。













「これからが、お楽しみだぜ」



































ぐぼらッ!!!(吐血
なななんだkrえdrftgyh。
芭唐こわッ?!
さんホントすいません!!
なんかこれもう、SM小説ぅ?みたいなぁ?(ウザッ!!
死なないでね、さん。(管理人はもう死んだ方が良いかもよ)
それではでは。

何気にこれ、続きます。