雨はまるで

永遠に止まないかの様に

今の私の気持ちを

表しているかの様に


静かに降り続けていた。








Tear ong   inal









コンコンッ




小さなノック音でふと我に返った。


どの位そうしていたのだろう。


私は広い部屋の真ん中でしゃがみこんだままだった。




起きていたのか眠っていたのか、それすらもわからない。

だが時計の針が指す時刻を見て、長い時間が経っていたことがわかった。




しかしそれ以外の感情は何も浮かんではこなかった。










「・・・・・・?」

ドアの隙間からリナリーが顔を覗かせた。


「・・リナ、リー・・」

喉はからからとしていて発した声は掠れていた。



「・・・・・っ」


部屋の真ん中にしゃがみこんでいるはなぜか異常に小さく見えた。


顔には表情がなく、瞳からは光が消えている。


リナリーは思わずから顔を背けたくなる、そんな衝動に駆られた。


明るくて眩しいほどの笑顔のは何処に行ってしまったのだろう・・・?










「・・、あのね・・・」




少し苦しそうな上ずった声でリナリーは喋りだした。



光を失ったの瞳がゆっくりとリナリーに向けられる。





必死に笑顔を作ろうとするリナリーの笑顔は明らかに悲しみを浮かべていた。


































「・・・ラビが、・・・かえってきたよ・・」

































虚ろだったの瞳に一瞬、光が戻る。




























はリナリーを突き飛ばすようにして廊下を駆け出した。










「キャッ・・・・?! ちょっと待って!!」



































ラビ







ラビ







ラビ!!!










やっぱり嘘だったんだね!


みんなの意地悪!


ちょっと本気にしちゃったじゃない!


後でたっぷり説教してやる!















頭に浮かぶのはラビの笑顔


拗ねた顔


怒った顔


おどけた顔



そして笑顔・・・





























教団の一番広い部屋のドアが開いていた。


はそこに向かって一直線に走っていった。











そこのドアの向こうで

きっとラビが


『ただいまさ!!!!』


なんて言って抱きついてくるだろう。






に明るいいつもの笑顔が戻っていた。






























バタンッ!!



部屋に勢い良く駆け込む



















ラビ!!おかえり!!

























しかし部屋にラビの姿はない。
























「・・・あ、れ・・・?」











そこにいるのはたくさんの探索部隊の人たち


それにエクソシスト数名に


科学班の人たち







それと













黒と白の棺が数個だった。

























!!・・・違うの!ごめんね、私の言い方が悪かったの・・・!」



数秒遅れてリナリーが部屋に駆け込んできた。


その目には涙が溢れ、頬伝ってぽろぽろと落ちている。





見渡せば誰もが啜り泣き、部屋には重たい空気が漂っていた。





!・・ごめんね、ごめんね・・」


リナリーがを後ろから抱きしめた。





「ラビは、ね・・・かえってきたけど・・だけどね・・」








































「もう・・・生きいてないのよ」




































の瞳から大きな滴が一つおちた。


































      『モウ・・・イキテイナイノヨ』



































闇が広がる。





















「・・・嘘、だ。ねぇリナリー冗談だよねぇ・・・?」




リナリーは小さく首を横に振った。




「リナリー・・・、ねぇ・・嘘って言ってよ・・・
ねぇ!!


ぼろぼろとの瞳から涙が落ちていった。








リナリーが


アレンが


コムイが


リーバーが


神田さえもが





涙を流した。












ちゃん・・・おいで」




小さく手招きをしているのはコムイだった。


は床を見つめたまま動こうとしない。



・・」

アレンがを抱き起こし、の体を支えるようにしてコムイの元へ歩いていった。

は小さく震えていて、アレンは思わず俯き目を閉じた。

をこんな風にしてしまうラビの存在の強さをかみ締めるように・・・。







「顔や体にほとんど傷はなかったんだよ」

そういってコムイは棺をゆっくりと開けた。




「ラ・・・ビ・・ッ」



すっとアレンの元から離れ、はラビの下へしゃがみこんだ。





ラビの頬に触れ、髪を触り、手を握る。




「おかえ、り・・・。 おかえり、ラビ・・・っ」

ラビの手を自分の頬にあて、は震える声で言った。

ラビはうっすらと微笑みを浮かべていた。

私のほしかったあの飛び切りの笑顔はもう、見れないのだ。


ラビに会えたことで浮かんでいた、小さな微笑みが少しずつ消えていく。



「う・・っ・・・うぁ・・」


顔を歪ませては涙を流した。


その涙はラビの手から腕へ綺麗に流れ落ちていった。


「ラ、ビ・・・。
ラビィ・・ッ!!












雨は

止むことはなかった。

静かに

静かに


降り続けていた。

































 



この手紙を読んだってことは、俺に何かあったってことかな。

エクソシストだから何時何があってもおかしくねぇし、たぶんには

悲しい想いをさせてると思う。

でも、俺はいずれ行くことになるもう一つの世界にちょっとばかし早く行くだけだから

、俺を呼び戻そうなんて、思うなよ!


愛してる。

たくさん言ったけどまだ言い足りなかったさ。

愛してる、愛してるさ、永遠に。


、そっちの世界を俺の分まで楽しめよ!

俺はこっちでが来んのまってるからさ!



                        ラビ















「・・・フフッ。ホント、ラビってば・・・」




あれからどれくらい経ったのだろう。

忘れたことなどない。

こうしてラビの部屋に来たのだって本当は辛くて痛くてしかたがないんだ。

それに、しばらく立ち直れなかったことも事実。

でも、・・・それでは駄目なんだ。






の頬を涙が一筋だけ流れた。








ラビの笑顔はまだ、思い出せた。









「・・・私も、愛してるよ・・っ」































雨は


   必ず


止む。




そう








  
  絶対に。







































長い短編が終わりました。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
暗いお話となってしまいましたが、良かったと思っています。
私自身かいててなんだか悲しくなってきて泣きながら書いてました。

感想、いただけると誠に嬉しいです。