なんだろう・・・
歩くたび
どんどん
湧き上がる
この不安な気持ちは・・・
Tear Song W
着いたのはコムイ室長の部屋だった。
何か色々と書かれた紙が床や机を覆い尽くしている。
「座って」
室長に言われるまま私はソファに腰を下ろした。
短い沈黙が流れる。
雨の降る音だけがやけに大きく聞こえる。
「あの・・・」
沈黙を破ったのはだった。
コムイの瞳を真っ直ぐに見つめ真剣な面持ちで話し出す。
「今日、食堂に居るみんなの様子が変だったんです・・・。なんだか皆余所余所しくて・・・」
「・・・何かあったんですか・・?」
一息おいてはコムイに聞いた。
コムイは表情を、驚きと少し困ったような微笑に変えた。
しかしは表情をまったく変えず、コムイをみつめている。
コムイはから視線を落とした。
――言わなければいけない。
なのに言葉が出てこない・・・
ちゃんの笑顔を壊したくない。
だけど・・・
一度静かに息を吐き、コムイは顔を上げた。
を見つめたコムイの瞳に微笑みは消えていた。
「・・・、ちゃん・・。落ち着いて、良く聞いてね。」
は、はいと小さく答えた。
張り詰めた空気が二人を包む。
「・・・っ、・・実は・・・」
バァァアンッ!!!
「コムイさんっ!!ラビが、ラビが死んだって本当ですか?!」
雨の音
アレンの荒い息遣い
後は耳が痛くなるような静けさ
「・・・な、何言ってるの・・?」
は変なものを見るような目でアレンを見つめてから
コムイに向き直った。
「ねぇ・・・室長・・何のことですか・・? 嘘・・・ですよね・・?」
目を合わせないコムイ。
「コムイ・・室・・長・・・?」
アレンは自分のしてしまったことに気づき、
そしてから目を逸らした。
――なに・・?
皆で私をびっくりさせようって言うの?
嘘でしょ・・・?
嘘に決まってる。
「・・・任務中、ノア一族と接触があったらしい・・・。その戦いの途中、」
「ハハ・・冗談ですよね?もう十分びっくりしましたから!」
「ラビは?ラビは帰ってきてるんでしょ?」
は立ち上がってドアに向かい歩き始めた。
「・・っ。ちゃん・・。僕はこんな嘘はつかいないよ」
歩みを止め、ゆっくりと振り返る。
わかってる。
皆がこんな冗談言うはずがないことぐらい・・・
でも
受け止めてしまったら
信じてしまったら
本当になってしまいそうで、
嘘だと思いたくて・・・
「やだ」
「嘘だ・・・!」
「嘘だ嘘だ嘘だぁぁ・・・!!」
悲鳴に似た叫びが部屋中に響き渡り、
は頭を抱えるようにしてしゃがみ込んだ。
あぁ。
今話でおわるはずが、おわるはずがぁ。
おわりませんでした。
たぶんつぎでおわります、たぶんね。