ニコニコ笑って、すぐに怒って、ボロボロ泣き出す。


少し目を離せば君の表情は変わっていて。

俺はすぐに追いつけなくなってしまう。


全てを・・・見逃したくないのに。









「千種ー?なぁに変な顔してるの?」



ぼぉっとしていたのか、に声をかけられてハッと我に返った。

俺の顔を覗き込んできたは笑っている。

何が面白いのだろう。



「・・・・・・」


「な、何か言ってよ!」


「・・・・・・」


「え、ちょ、私独り言になってる!千種ってば、千種、千種ー!」


「・・・うるさい」


「む」



俺の一言で今度は唇を突き出して、不満そうな声を漏らす

椅子の上で子供のように両膝を抱えて、体を左右に揺らしだした。

実際、俺達なんて子供だけど。



部屋には俺との姿しかなく、

・・・あぁ、骸様は犬と買い物に行くと言っていたっけ。

静かでゆっくりとした時間が流れている。



「・・・


「・・・・・・なにー」


「怒った?」


「・・・・・・ちょっと」


「ごめん」


「えー!もう謝るの!?ちょ、それじゃあんまり怒りようがないっていうか・・・」



素直に謝ればそんなことを言い出すに、俺は思わず笑った。

・・・まぁ、無視するのも謝るのも、全て確信犯だけれども。

のころころと変わる表情を見るための。



「あ」


「・・・なに?」



目を丸くしてから、は嬉しそうに笑った。

細められた大きな瞳はしかできないようにキラキラと輝いて、孤を描く口には思わず自分も釣られて笑顔になってしまいそうになる。

思わず見とれたなんて・・・言えない。



「千種、笑った!」


「・・・・・・」


「私ね、千種の笑った顔大好き。だから見れたときはすっごく幸せになるの!」


「!」


「千種が笑うと、釣られちゃうな」


「・・・なに、それ・・・」



なんで、

なんで、俺に釣られる・・・?


よく見れば、はうっすら頬を染めていて、キラキラした瞳は俺を映している。

俺にだけ見せている、俺だけが見れる、の笑顔。




・・・そうか。




「・・千種っ?」


「骸様と犬がそろそろ帰ってくるだろうから、・・・おやつ作る」


「今日は千種の手作り?やったー!私も手伝う!!」


「いい、下手だから」


「えー!!」



キッチンへ歩き出した俺にはひよこみたいにくっついて来る。

料理が下手なの手伝いは、はっきり言って足手まといだけど。

手伝わせる俺は、所詮が可愛いのだろう。




「千種、卵がぐちゃぐちゃに・・・!」


「・・・馬鹿」






















笑って、泣いて、怒って、拗ねて。


君の表情を全て見るのは、やっぱり俺には難しい。



でも、


俺だけに見せるその表情は


俺だけのものだから、


俺だけが作り出せるものだから。



























そう、いつだって君は輝いてた


どうか、その輝きの一つを俺にください。












































「僕のー!愛しのダーリンのお帰りですよー!!」


に飴買ってきてやったびょーん!」


「あ、おかえりなさい!骸さん、犬」


「・・・おかえりなさい」



「「え」」



「・・・ち、ち、千種!!何をやってるんですか!!僕のに!!」


「柿ピーがのこと舐めてるびょん!!変態らぁぁ!!」


「え、いや、蜂蜜を零しちゃって・・・んっ」


甘い」


「ちょっ・・・!!」


「「(千種(柿ピー)・・・コイツ絶対確信犯だ!!)」」




























何故かギャグエンド・・・。