君の髪に指を絡めて
延長的に頬を撫でる
何も恐くないよ
君は僕のものだから。
ニコニコと笑う。
いったい何がそんなに楽しいのかわからない。
「ちゃんは今日も絶好調にピーがピーだな!!」
「あ、また・・・小饂飩先輩セクハラで訴えますよー!」
「ねぇちゃん、ほらほら見て!!」
「うわっ・・・すごい!!けどユタ危ないからー・・・あ、あぁああ!!ユタ!?」
皆と楽しそうに話すが無償にイラつく。
何がそんなに楽しいの?
なんでそんなに笑うの?
皆・・・嫌いだ。
「はぁ・・・」
「草次どしたの?」
ひょこっといつのまに近くに来ていたのか、僕の前に顔を出す。
もう皆あまり気にしなくなった僕の溜息を唯一気にする。
「・・・・べつに」
「あ。また『・・・べつに』って言った」
は僕の言い方や表情を真似て言い、それから隣りに腰掛けた。
「よいしょっ。・・・草次はあんまり話してくれないよね、自分のこと」
「・・・・」
「話すのって、あんまり好きじゃない?」
「べ「べつには、なしね」
言葉を遮り、は悪戯っぽく笑った。
今この笑顔は僕だけのもの。
カキーンと響く誰かのバッティングの音。
ざわざわと走る風が枝を揺らす音。
何か衝動的なものだった。
どこか発作的なものだった。
がほしい。
全てはBGMにしか聞こえない。
「好きだよ」
身を乗り出し、指はさらりとの髪を絡めとっていた。
が少しだけ身を引いたのもわかった。
「話すよ、全部。になら」
「え?」
「僕の話し聞きたいんでしょう?」
「う、・・うん」
「・・・そう、よかった」
の腕を取り、紅いあやとりを綺麗に手首に結んだ。
さながら鮮血のよう。
「草次・・・?」
「僕の話は長くなるよ。その気があるなら・・・放課後部室で待ってる」
そんな困った顔も僕は好きだよ。
だって僕だけにむけているんだから。
ベンチを立ち、面倒くさい練習に足を向ける。
早く終われと、始める前から悪態を吐いた。
「好きだよ」
放課後。君が来なくても、もういい気がした。
僕はそれでも何かが欲しかったんだ
君が笑う分だけ増えるネガティブ