遅すぎる後悔を噛み締めて、

何度自分を呪い殺そうとしたことか。





――あぁ、己の無力さには同情の嘲笑すら浮かびません。






何のためにここまできたのか

いつかの目標さえも儚い灯火のようにゆらりと消えた。






――僕はどうして生きているのでしょう?







絶望の紅い夕焼けが目に焼きついた時

思い出すことはやめようと、暗黙のルールを心に決めた。














――君に伝えられなかった言葉は今も僕を締め付けています。


































そして、もう一度、君と! P6









































「あーあ、楽しかった!」


のホームランかっこよかったぜ!」


「本当!?」


「けっ・・・あんなんホームランなわけねぇだろが」


「あ、もしかして隼人やきもちー?私と武の愛のホームランに」


「はぁ!?な、だ、誰がっ!!」


「はいはい、もー隼人は子供だなー!今度ホームランの打ち方教えてあげるからっ」


「「(・・・そっちかよ)」」



四人で並んで歩きながら、夕暮れの帰路を行く。

伸びたでこぼこの影が同じ速さで歩くのを眺めていると、なんだかとても嬉しくなった。






「・・・ツナ、大丈夫?寝てたけど・・風邪ひかなかった?」


「え!?・・あ、うん、大丈夫だよ」


「十代目、熱が出たらすぐに連絡してくださいね!」


「え?駄目!ツナの看病は私がするべき!」


「あぁ!?」


「アハハ」



ギャアギャアと再び騒ぎだす二人にツナは苦笑いした。



結局あの後、と山本の放った特大ホームランのお蔭でボールは行方不明。

さらにイライラした獄寺をなだめながら、三人がツナのところへ戻れば、ツナはいつのまにか昼寝を始めていて。

ツナが起きるまでおしゃべりしていた・・・というわけなのだ。




「だからー!!ツナの看病は、ボスの護衛を任された私の仕事なの!!」


「んだと!?俺は十代目の右腕なんだよ、ごときに十代目を任せられっか!!」


「任せられる!!ツナも私のがいいよね!?」



がしっとツナの腕に抱きつき、はそうだよね?とツナを見つめた。

とたん真っ赤になってワタワタと慌てだす。



「な、ななな、なんでそんな話になってるの!?大丈夫、俺元気だから!」


「仮定だよ、仮定!」


「おい、十代目にひっつくんじゃねぇ!」


「え?何?隼人は私にくっつかれたいの?もうしょうがないなー」


「違ぇ!!」


「ご、獄寺君ダイナマイトはしまって!!ちゃんも獄寺君挑発しな・・・・・・・・」



ツナが二人を宥め始めた
















瞬間、
















「!!」
















周囲の音が消えたように、一点集中した神経。



ゾクリと走った、あの嫌な悪寒。




















「十代、目?」


「ツナ・・?」


「どした?」














「っ・・・」





















―来る。














自分の中の何かが、そう、知らせた。








































「・・・・おや、お久しぶりですね。・・・ボンゴレ十代目」

































「!!・・・六道、骸・・・!!」































「! テメェッ・・・!何しにきやがった!!」



「!」





一瞬にしてザッと戦闘態勢になる二人は自然とツナとを護るように前方に出ていた。

前方から歩いてきたのはこちらも四人組。




「んぁ〜?んだ、またお前らかよ」



舌を出し、無造作な髪の前をピンでとめた少年。




「・・・・めんどいな。早く帰りたい」



帽子を被り、眼鏡をかけただるそうな少年。




「・・・ボス」



右眼に眼帯をした少女。


そして、




「クフフ・・・。勢ぞろい、ですね」




六道骸と呼ばれた少年だった。






黒曜の中学の制服を着た四人組は、骸を囲むように前方からゆっくりと近づき、5m程離れた場所でぴたりと止まった。

こちらとは裏腹にやる気のない空気を漂わせている。



は獄寺と山本の後ろで、状況を掴めずに一人頭にハテナを浮かばせていた。


・・・それでも、この妙な胸のざわめきに、少しだけ息を呑んだ。




「ねぇツナ、誰・・?もしかして・・ボンゴレの敵?」



きょろきょろと顔を覗かせようとするの腕を掴み、ツナは首小さくを振った。

どことなくいつもとは違う、真剣な目で真っ直ぐとを見つめながら。




「・・・・・駄目だ。ちゃんは・・・行っちゃいけない、気が、する・・」


「・・・・え」




そして、さらに自分の後ろに隠すように、ツナはの前に立った。



ボンゴレの超直感・・・、それが頭に浮かんだ。





















「そんなに警戒しないでください。別に僕たちはあなたたちを襲撃しに来たんじゃありませんよ」



骸は人当たりのよさそうな笑みを浮かべて、両手を前にかざした。



「そうだびょん。今日の夕飯の買出しに行ってき」


「余計なことは言わなくていいよ犬」


「・・・ハンバーグ」



「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」



ニコニコと笑う骸と平和的過ぎる三人の発言に、放心する三人。

は仕方がないので、ツナの髪のハネ具合を眺めていた。




「クフフ・・・そういうことですよ。今日はボンゴレに用事はありません」


「そういうことだびょん」


「・・・チッ。何にしろ十代目には指一本触れさせねぇからな」


「ハハ、ハンバーグか!いいな!」


「うん」


「・・・・・・」


「だからお前らには用ねぇって言ってんじゃんかよっ!」


「コラ、犬静かにしなさい」


「お前らはいるだけで危険なんだよ!」


「骸様、ハンバーグ好きだから」


「お!俺も好きだぜ、ハンバーグ」


「クフフ」







「・・・・・骸様、行きましょう」



そのままバラバラな会話が始まったところで、帽子を被った黒曜生が終止符を打つように、骸に声をかけた。

表情は一つも変えずに。



「あぁ、そうですね。それでは行きましょうか、・・・・・ん?」



千種に返事をし、歩き出そうとしたその時。

ツナの後ろに揺れる人影に気づいた骸は、くいと首をかしげた。




「おや・・・?そちらの・・・お嬢さんは誰ですか?」



「!」


「!」


「(気づいちゃった・・!)」


「・・・ん?」


自分のことだと分かった瞬間、はっと顔を上げた。

声だけが耳に響く、正体の見えないもどかしさに、・・・ゆっくりとはツナの横から顔を覗かせる。





「・・・・・・」




深緑色の制服、



並ぶ四人分の男女の足、






そして、中心人物の顔。











―ドクン











「!?」





その人物が目に映った瞬間、心臓が一度大きく鳴った。














青い色の特徴的な髪型。












「・・・・っ・・!?」






何かがひっかかる。















赤と蒼の瞳。

















「っぅ・・・っ・・!!」






目が離せない。















息が、出来ない。



















右眼が疼いた。





















気づいたときには両膝を地面についてしゃがみこんでいた。

そのまま肩を上下して息を整える。



「・・・ハァ・・・ハァ・・ッ」



疼く右眼をぎゅっと強く押さえつける。

気持ちが悪い。




「ど、どうしたの!?」


「おい、大丈夫か!?」


「テメェ、何しやがった!?」



しゃがみこんだに三人はかけより、獄寺は骸を睨みつけた。

手にはダイナマイトを準備している。

返答次第では・・・といったところだろう。



「・・・・・・」



骸は何も言わず、

視線を逸らさず、


ただを見つめていた。




「骸さんは何もしてねぇよ!変な言いがかりつけるんじゃねぇびょん!!」



代わりに犬と呼ばれた黒曜生が苛立ったように言い返し、唸った。

他の二人は何も言わずに黙っている。




「どうしたの?大丈夫・・・ちゃん?」


「おい、!」



「「「 ! 」」」




























ピクリと骸、犬、千種がその名前に反応した。














ぴんっと一気に張り詰めた空気。












「っ・・・だ、いじょうぶ・・。なんだろ、わかんない、けど」



顔を上げニコッと苦笑いしながら、は差し出された獄寺の腕につかまって立ち上がった。

そして伏目がちに骸を見上げると、すぐに目を逸らして獄寺の腕を引いて歩き出した。



「か、帰る」


「おいっ・・・?」


「あ、おい、待てよ!」



骸の横をすり抜け、は早足で黒曜生たちのもとを離れていった。











「・・・ちゃんを・・知ってるの?」



「・・・・・・どう、でしょうね」



「・・・・・・」





無言のままツナは三人の後を追った。























「・・・骸、様」


「骸さん・・!今の、今の女っ」


「・・・・・・」




放心したようにコンクリートの地面を見つめている骸に、興奮した様子で千種と犬が声をかけた。

骸は、すっと右手で顔を覆い、そしてゆっくりと、天を仰いだ。














「クフ、クフフ・・・クフフフフ」


















――あぁ、どうしたらいいでしょう。
















この呪われた運命に二度目の光が差し込んだ。


一度は失ったその光、が。

















――この胸の高鳴りをどう表現したらいいのだろう?














この必然に似た運命を夢で終わらせるわけにはいかない。

手の届くところにあったのだから。






















「クフ・・・クハハハハッ!!」



























あぁ、あの日もこんな血に濡れたような真っ赤な夕暮れで、












僕は君を失ったんでした。




















・・・やっと見つけましたよ、






































「 La persona prediletta! 」






































黒曜編始まりました!
はい、意味不明でごめんなさい!
でもこれからわかりますよ、きっと・・・(ぇ



ごめんなさい!!一部名前変換されていないところがありました!
修正いたしましたが、まだ直っていないところが見つかったらお知らせください!

修正→ 04,23



La persona prediletta → 最愛の人


2007,04,22


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