清々しい風が心地よく吹き、青い葉をさわさわと揺らした。
晴天と呼ぶにふさわしい空をバックに、女は右手を額に当てて敬礼のようなポーズをびしりと構えた。
「えぇ、わかってる!へまはしないようにするから、心配しないで」
爛々とした笑顔で答えるその表情には一点の曇りもなく、そこが心配なんだ・・・と男は小さく呟いた。
「またそういうこと言う・・・。ねぇ?私は強くなった・・・・・・そうでしょう?」
「・・・・・・、・・・あぁ。もちろん」
呆れたような困ったような諦めたような顔で笑った男に、にっこりと笑いかけてから女はくるりと背を向けた。
ザァアっと、後押しするように一際強く風が吹き女の背を押す。
――あぁ、本当にお前は強くなったよ。
そしてまた少し、俺の元から離れていくんだな。
「、行ってきます!」
「おぅ、行って来い!」
そして、もう一度、君と!P1
「・・・・・・え。うわぁ・・・やっちゃった・・・」
鞄をガサゴソと漁る手を止め、は俯き、明らかに落胆した。
「ど、どうしたの?ちゃん」
「ツ、ツナぁ・・・」
「(ぅ、うわわ)」
の上目使いに思わず赤面したツナは、落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせてから、もう一度どうしたのかと聞いた。
「・・・・・・携帯、落とした・・・かも」
「・・・あぁ・・・」
ツナはと共にズーンと苦い顔をしてから、
「探すの手伝うよ」
と明るく言った。
とたん、は顔をあげて目を輝かせて、それから首を振った。
「え・・・本当!?あ・・・でも、そんな、悪い・・・」
「なら、俺達も手伝うよ!な、獄寺!」
「は!?勝手に決めんな!!・・・まぁ十代目が手伝うって言うなら・・・」
ヒョイッと現れた山本と獄寺。
同じクラスのいつものメンバーが顔を合わせた。
「っみんな・・・ありがとぉぉ」
うわーんと嬉し泣きのような顔になれば、笑うか泣くかどっちかにしろ、と獄寺に小突かれた。
が日本にやってきて今日で2週間が経とうとしていた。
転校生の私をすんなりと受け入れてくれたこのクラスや、ツナ達をとても素敵だと思った。
・・・さすが“ボンゴレ十代目”・・・と。
「それじゃオレ、とりあえず職員室に聞きに行ってくるね」
「十代目!俺もいきます!!」
「んじゃあ俺はそこら辺適当に探してみるな!」
「うん、ありがと」
それぞれバタバタと教室から出て行き、放課後の静まった廊下に響く足音が、遠ざかって行った。
「・・・私も探そ」
小さく、ご迷惑をおかけしますボス・・・と呟いてから自分も教室を駆け出た。
・・・私はこの任務に全身全霊をかけると誓っていた。
私の感謝の意を込めて。
私の、存在の意を託して。
今の私にできることを余すとこなくやり遂げてみせる、と。
「―綱吉。・・・私がお守りいたしますよ。・・・我が、主君」
校内のあちこち、今日行った場所ふらふらと歩き回る。
一向に見つかる気配のない、マイハニーの我儘さに思わず溜息をついた。
「はぁ・・・本当どこいったの・・・・、・・・ん?」
その時目に付いた、階段の最上階から漏れる一筋の光。
「・・・?」
未だ足を運んだことのないその場所に興味を掻き立てられ、私は思わず階段に足をかけた。
屋上・・・ちょっと気は引けるが、行ってみたい。
・・・ちょっとだけ・・なら、大丈夫だよね!
―キィィッ
小さく開いていた重いドアを、自分が通れる程開ける。
一歩踏み出したそこは、
夕日に染まった紅い赤い空が視界いっぱいに広がっていた。
「・・う、わぁ・・・!」
綺麗・・・と吸い寄せられるように屋上の半ばまで歩み出た。
でもそれ以上は行かず、そこで足を止める。
「すごい・・・!知らなかったなぁ、こんな綺麗な」
「君、誰?」
「!」
背後から聞こえた声にバッと一瞬で振り返った。
思わず仕事モードに切り替わってしまった自分にため息をついた。
ひょんな出会いが必然だって、あぁ、あの時の私は知らなかったの!
だから怒らないで、ね?
運命と、必然と、そして君と!
りっボーン!ちゃおっすッ、と始まりましたREBORN連載!
なんだかハイテンションでいつもとちょっと違う感じに書きあがったなぁ。
これはこれで、結構気に入ってたりします(笑
それでは、これから末永くよろしくお願いします!
2007.02.23
BACK!