「・・・萌太、一緒にいて」
「えぇ、いいですよ。でもいつもの時間までですからね」
Please Please!
部屋の真ん中にどでんと置かれたコタツに向かい合いで座り、何をするわけでもなく一緒に過ごす。
学校が終わって、帰宅して、萌太と過ごす、これが私のいつからかの日課。
「コタツっていいですね。いー兄にも作らせたいです」
「いー兄・・・、あの目が死んでるお兄さん?」
「クスクス。そうです」
近くのアパートに住む萌太と出会ったのは今から半年くらい前のこと。
同じくらいの年なのに煙草を吸って、学校に行ってる様子もなくて、いつも同じ時間同じ場所で彼を見かけた。
ただ、“綺麗な人”だと思った。
「あのお兄さんなんだか恐い・・・。何考えてるんだかわかんないし」
「そうですか?いい人ですよ」
私の発言が面白かったのか萌太はまたクスクスと綺麗に笑いながら言った。
・・・。
・・なんで笑ってもそんなに綺麗にいられるのだろうか。
なんだか妙に羨ましくて、よくわからない気持ちで私は萌太をじっと見つめながらテーブルに顎をついた。
「・・・・はぁ。・・なんで萌太はそんなに綺麗なの?本当に男?」
「え?・・・全く、ちゃんは変なこと言うんですね」
「変じゃない。だっておかしい・・・本当は女の子なんじゃないの?」
「まさか。確かめてみますか?・・あ、蜜柑いただきますね」
否定する萌太だけど、やっぱりいくらなんでも綺麗過ぎるだろう。
だけど・・・男だなんてわかりきっている事実。
(じゃなくちゃ私は女の子に恋をしていることになっちゃう!)
萌太が蜜柑の皮を丁寧にむいていくのを眺めながら、絵になるなぁなんて頭のどこかで考えていた。
「あーあーあー綺麗綺麗キレイ!羨ましいー」
「ふふ、ほらそんなことばかり言ってないで、どうぞ」
「ん」
差し出された一房の蜜柑を口で受け取り、甘酸っぱさに頬を緩ませた。
「甘い」
「本当、美味しいですね」
萌太が来てから、私は毎日楽しいの。
学校にいる時間なんかより今が一番大切なの。
でも、
萌太の気持ちはわからない。
(だっていつも綺麗に微笑んでいるから)
「・・・・・・萌太」
「?」
あーあ。
楽しいな。
萌太とずっと一緒にいたいな。
これって恋?いやいやそんなの前から気づいていたでしょう。
「萌太、すき」
「僕もちゃん好きですよ」
ニコって微笑んで、私の頭を優しく撫でる。
そんなの萌太の手も好き。
でも萌太、貴方の好きは私の好きと違うでしょう?
だって今も『ちゃん』付け、子ども扱い。
私を見る目も、妹を見るような優しい目。(嫌いじゃないけど)
「好き好きすきー」
「今日のちゃん、なんだか変ですね」
「変じゃないもんね」
コタツの中にある萌太の足をゲシゲシと蹴ってやった。
痛いですよ、と言う余裕な顔。
あぁ、そうですか、と言う子供な私。
「萌太の馬鹿ー」
「はいはい」
「・・・萌太の馬鹿ー」
「ちゃんが」
「え?」
未だブスッとしている私を、萌太はしっかりと見ていた。
いきなりの切り出しに私の頭にはハテナが浮かぶ。
「ちゃんがもう少し大人になったら・・・・」
「それじゃ、お邪魔しました。また誘ってください」
「うん」
いつもの時間、いつもの通り、貴方は帰っていった。
いつもと違う言葉を残して。
“その時は迎えに来ますよ・・・”
そんな意味深な言葉を残さないで、
期待しちゃう、期待しちゃう、貴方が好き。
子供な私にわかるくらい今すぐ愛を囁いてよ!
1313Hit(掲示板) 藤原ベイブ様に捧げます
『萌太・ほのぼの・ヒロインに《ちゃん》付け』
長らくお待たせいたしました!
本当すみませんです!!
ほのぼのということで(大好物)はりきらせていただきましたら、こんな感じになっちゃいました。
期待に添えていなかったらすみません;
そしてどことなく偽者な萌太ですみません!!(敬語ゆえ、頭に某パイナッポー様が浮かんでおりまして^^/黙れ)
それでは、こんなものでよろしければもらってやってください!
リクエスト本当にありがとうございました!
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