「ゼムナス・・・なんだかご機嫌だったな」


「・・・気持ち悪いぐらいにな」


「俺、ゼムナスのあんな顔見たの初めて!」


「全員初めてだと思うが・・・」


「次のステップは微笑むことですね」



「「「・・・・・・・・・・・」」」





















05 − 違いから






















「あ・・・あの・・・」



なんだか話が逸れてゼムナス談に成り行く中、は1番近くにいたアクセルのコートを軽く引いた。



「あの、ア・・・アクセル・・さん」



身長差故に、アクセルから見ればはちびっこサイズ。

アクセルは少し屈んでに視線を合わせた。




「ん?“さん”なんていらねーよ。アクセルでいいぜ、。 ・・・・・ん?」



合わせた視点から覗く、のフードに隠れた顔を見つめ、アクセルは固まった。

刹那、目を見開く。




「おい、・・・・・・お前って・・」


「・・・?」




アクセルの視線を真っ直ぐに受けながら、は頭にクエスチョンマークを浮かべた。

そしてアクセルの異変に気付いた他のメンバーが二人に向く。





「ん?アクセルどしたの?そんなに睨んだら新入りビビっちゃうよー」


「そうですよ、それでもアクセルは不良顔なんですから」




からかっているのか、本気なのかデミックスとゼクシオン。




「睨んでねぇ!ふ、不良・・・!?・・・って、あぁ、んなことよりも!!

 誰だよ『新入りは男』なんて言ってた奴は!?」



「・・・・え?男?」



アクセルの声に、は小さく声を洩らした。





メンバー同士お互い顔を見回し、はいと挙手するデミックス。



「ゼクシオーン」




「ヴィクセンです」



と、ゼクシオン。




「私はラクシーヌから・・・」



と、ヴィクセンが言いかけた瞬間ラクシーヌの声が被った。




「待ってよ、あたしは男じゃないのって言っただけよ。勘違い甚だしいわ」










「「「「・・・・・・・・・・・」」」」









自分の周りで騒いでいた人達を見上げ、小首を傾げる



漆黒のコートのフードが揺れた。













「・・・・・・あー・・・。そのー・・・つまり・・・勘違い、なんだな」




ハァと呆れ顔で溜め息を付き、アクセルは再度と視線を合わせる。


はフードの中に隠れている濃い蒼色の瞳を輝かせ、状況が飲み込めたようで可笑しそうに微笑んだ。


そして、アクセルを見つめ返す。





「・・・!」





―うわ、よく見るとコイツ可愛い顔してんな・・・。

 他の奴らに見せんの勿体ねぇ・・・。





アクセルは心臓が高鳴るのを感じ、一瞬視線を逸らすと、少しだけ躊躇ってからのフードに手をかけた。









両手でゆっくりとフードを後ろに下げる。









誰もが、を見つめる。










――パサッ













フードが外れ、






ブラウンの髪がサラリと流れ出た。













「!!」


「・・・おっ」


「えぇ!?」


「・・・・」


「!」


「な・・・」


















「・・・・・女、です」




























思わず静まり返ったホール内。




















原因はが女だったという事実ともう一つ。







「・・・・・かっわいい」






の容姿にあった。











「あの・・・すみません。皆さんの期待に添えなかったみたいで・・・」



伏し目がちに謝る

その姿さえ可愛らしいのだから、どうしようもない。







「そんなことはない。全員、を歓迎している」



サッと素早くの手をとり、優しく微笑むマールーシャ。



「えっ、あ、・・・本当、ですか・・・」



「勿論ですとも」




少し驚いているのもう片方の手をとるのはゼクシオン。


右手をマールーシャに、左手をゼクシオンに捕らわれ、は少し慌てたように口ごもり、そして








「そっか・・・よかった・・・!」








「「「!!」」」







二人の動きの早さに、呆気にとられていた数名も、の微笑みでスイッチが起動したのだった。