大きな犬がいたんだ。
小さい私達にはまるで、獰猛な怪物のようにさえ見えた。
『、絶対俺達の傍から、は・・離れるなよ!』
『そうだ・・・俺達がのこと護ってやる・・・!』
あぁ・・・私達は、あの頃からいつも一緒にいたね。
いつも、いつも、
『ソラ、リク・・・。・・・・・うんッ・・!』
・・・護ってくれてたね。
01 − たった一人
・・・気づけば、あれから数日が過ぎていた。
ソラ、リク・・・それにカイリさえも姿を消した、あの忌まわしい日。
しかし、それを知る人間は私以外にただ一人としていなかった。
なぜなら3人の存在すら、誰も知らないというのだから・・・・。
なんで・・・?
どうして・・・?
悪い夢でも見ているの・・・?
・・・それとも、あの日々が夢だったっていうの・・・?
繰り返し繰り返し浮かぶ、そんな考えを捨て去るように首を振った。
隙間があればとりとめもなく、三人のことばかり考えてしまう毎日。
だけど・・・私が考えないと、想わないと、皆の存在が本当に、・・・本当に、消えてしまう気がした。
いつも皆で遊んだ浜辺に今は独りきりで座り込んでいる。
あんなに軽くて楽しかった空気がどこか重いのは、きっと気のせいじゃないだろう。
膝を抱え、瞳を閉じて、膝の間に顔を埋めた。
―・・・ザザン
私だけを残して、変わっていってしまうこの世界・・・
だけど、
だけど波の音だけは・・・変わらず
私の胸に響いた。
・・・淋しいよ
「泣いているのか」
―ザザン・・・