ニャー
ニャー・・・
「ふへへっ可愛い!」
猫じゃらし
「・・・・なにやってんの」
「あっ、ベル!?」
暇だから、というもっともらしい言い訳を考えながら、開けたの部屋の扉。
部屋の中にはいつも通りのの姿と、
「あ、あの、そのっ、さっきそこで見つけて・・・っ」
「・・・・・・・」
ニャーッ
ニャー・・・
「・・・・猫?」
3匹のちっさい仔猫。
「そ、そうなの、猫なの〜!可愛いでしょう?・・じゃなくて!」
灰色の猫を抱き上げながら、にへらっと笑った後、は俺に勢いよく向く。
眉を下げ、泣きそうな目で・・・あぁ、んな顔しなくてもいいたいことはわかってるっての。
「わかってるって。ボスには黙っとけ、だろ?」
俺の言葉にはパァッと顔を輝かせ、うんうんと何度も頷いた。
猫拾ってきた、なんてボスに知れたら何言われるかわかんないしね。
「ベル!やっぱり私、ベルのこと大好き!」
「あたりまえー」
の隣りにしゃがみ、黒い仔猫の脇を手で持ち上げてみる。
みょーんと想像以上に猫の身体は伸びる伸びる。
「ししっ、何コイツ。おもしれー」
「か、可哀想だよ!!・・・可愛いけど」
そのままプラプラと猫を揺らす俺から、は素早く猫を奪った。
そして小さな額に頬を摺り寄せて、怖かったねーなんて甘えた声。
「・・・・・・」
「もー、ベル。もうちょっと優しくしてあげてよ」
はもう1匹寄ってきたオレンジ色に近い茶色の猫の喉を撫でながら、俺を咎めた。
猫なんかにへらへら笑っちゃって、可愛い可愛いとキスまでしてる。
・・・え?何?王子を差し置いてそんなことしていいと思ってるん?
どうもは未だに俺のことわかってないみたいじゃん。
ちょっとばかし思い知らせてやろうかな。
「ねぇ、・・・・――」
「ん?な・・――」
―ドタッ!
「・・いったぁ!!」
「ししっ、やぁっと俺のことちゃんと見た」
俺が突然を押し倒せば、驚いて見開いた目。
ヴァリアーの一員にしてはあまりに無様で無抵抗で弱っちぃ。
俺はそのままの額に口付け、潰されないように離れていた猫をもっと遠くへ行くようしっしと手で追い払った。
「ちょ、ベル?私さっきから何回もベルのこと見たよ?」
「嘘付け。王子より猫、猫、猫。ねぇ、わかってんの?俺、王子だよ?」
「・・・・ぁ。・・ふへへっ・・・なぁんだ、王子様はちっちゃな猫ちゃんに嫉妬してたんですかー」
「・・・・・・はぁ?」
俺の下で、は笑った。
無力で小さくて弱くて、俺が少しでも力を入れたら簡単に殺しちゃえる、・・・そんな状況なのに。
それに、え?王子が嫉妬?猫如きに?
は?何それ。
・・・すんげぇムカつく。
「・・・おい、ふざけるのも大概にし・・・っ」
―ガバッ
「ベルってばかーわいい!大好き!」
急に抱きしめられて。
の上に無様に転がって。
可愛いと言われて。
大好きと言われて。
あぁあ。
王子ってばどうしっちゃったんかな。
めちゃくちゃ嬉しい
「大好き大好きだーい好き!ふへへっ幸せ!」
「・・・ばーか。変な笑い方直せよ、馬鹿」
「ふへへっ馬鹿って言った人が馬鹿なんだよーだ。しかも二回も言ったよ、この王子」
「あぁあ、馬鹿らしいーなんかもう王子退屈だしさー・・・、このまま襲っちゃおうかなー」
「へ?・・え?なにそれ!?やだよやだやだ!!ってどこ触って!!」
背中に廻していた手で今度は服を引っ張って、なんとか自分から俺を引き離そうとする。
まぁ、そんな簡単に逃がすわけないけど。
シャツの中に両手を滑り込ませ、背中をツゥッとわざとらしく優しく撫でれば、の目は俺の上着を握る力に比例するかのようにぎゅうっと瞑られた。
「・・・っ!」
「うししっ。、目開けろよ」
「ば・・かっ!なら手、どかしてよ!」
「やーだ」
言葉と同時に首筋に顔を埋めて、柔らかくてあたたかい肌を唇でなぞる。
そして、王子のものって所有印をしっかりと残す。
赤い、綺麗な、印。
「ん・・っ!ベル・・ねぇ、ベル!」
「ん、何」
「今は、やだっ、・・・今は猫と、遊びたいっ」
・・・また猫かよ。
イラッとした瞬間、
目の前にズイッと差し出された・・・ねこじゃらし。
「ね。ベル遊ぼ?」
「は?」
「えーと・・ね?私が猫好きなのは、ベルが猫に似てるなって思ったからなの」
「・・・・・・」
「だから、今は皆で一緒に遊ぼ?・・・それで、だから、あのさ・・続きは・・夜、猫たちが寝てからが、いいなぁ・・・なんてっ」
顔を真っ赤にして、それをごまかすように困ったような笑顔作って、ねこじゃらし振り回して。
あぁ、やべぇ
・・・今すぐ抱きたい。
ま、我慢するけど。
なぁ、王子偉いっしょ?
めちゃめちゃいい子だと思わねぇ?
だからさ、
「・・・しょーがねぇなぁ。・・その代わり夜は覚悟しとけよ」
「え!?あ、・・・・・うん」
―…もっと、もっと、俺を愛して。
―ガチャッ
「う゛お゛ぉい、。今度の任務のことだけどな・・・・・ぁ゛?」
「ふへへっいい子いい子!やだっくすぐったいってぇ」
「うししっ、ほらに反撃してやれ!」
ニャーッ
ニャァッ
「・・・・・。・・・あ゛?何やってんだぁあいつら・・・」
猫とベルにじゃれられている(結構えろいぞ!)を見てしまったスクアーロがいたとかいないとか。
うぉっと、危ない危ない。
うっかりすっぽり裏になってしまうところだった。(すっぽり?
ベル王子いいね。
なんかうちの王子はヒロイン大好きすぎて可笑しくなっちゃったけど。
次はもっと狂気じみたやつが書きたいなーvなんて
それでは、お読みいただきありがとうございました。
2007,03,18
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