私は誓ったの。
次にあの子に会ったとき
私は命を捨てでも
戦って、戦って、戦って、
あの子を・・・殺すって。
ロード・・・。
暗闇 U
「良かったぁ。、ちゃんと生きててくれたんだぁ♪」
ロードはにっこりと親しそうに私に微笑んだ。
私は黙ったままロードを睨みつける。
「エクソシストって大変だから死んじゃうかと思ってたんだぁ」
舌をチロリと覗かせて、子供のような笑顔を見せる。
――・・子供なんかじゃない。
「・・・死ぬわけないでしょ・・」
ゆっくりと息を吐きながら小さく口を動かす。
「貴方を殺すまで、私は死ねない」
ふぅんと曖昧に返事をしたロードは、またニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「じゃぁ、僕もを殺すよぉ」
「ハァ・・ハァ・・」
AKUMAは全て片付けた・・・と思う。
こちらの道は先が行き止まりで、イノセンスらしき物も見当たらなかった。
先ほどAKUMAを倒しながら進んできた道をゆっくりと戻りながら、考えているのはのこと。
どことなく、いつも心ここにあらず、そんな表情をしているを放っておけなかった。
ある任務を境にはそうなってしまった。
以外の探索部隊、それにエクソシスト全員が殺された、悪夢のような一晩。
は仲間の血の海の中で一人跪き、星のない夜空を見上げていたという。
ただ独り生き残された、寂しさ、申し訳なさ、屈辱。
仲間を守れなかった、悔しさ、情けなさ、無力さ。
は独りでこんなにも多くのことを抱え込んで生きてきたのだ。
『 私 は 独 り が 好 き な の 』
そんなことを、本心ではない笑顔のまま話してくれたことがあった。
そんなこと本気で思っているはずがない。
僕はを救ってみせる。
「・・・」
と分かれた道まで戻ってくると、躊躇いもなくの進んでいった道の方へ向かった。
道の造りや周りの風景も自分の進んだ道となんら変わりはなかった。
はもうAKUMAを片付けたのだろうか、それとも苦戦しているのだろうか。
それとも・・・。
嫌な予感が脳裏をかすめ、走り出す。
――・・当たっていませんように。
「・・ッ!!」
少し走るとの後姿を発見した。
無意識のうちに名前を叫んでいる自分に驚き、の姿が見えてホッとしている自分を微笑った。
自分に背を向けたままのは僕の声と気配に気づいてこちらに振り返った。
綺麗な髪がなびく。
『 コ ナ イ デ 』
の唇は確かにそう動いた。
「・・? ・・?」
の頬には自分の血とも返り血とも取れる大量の赤い液体が付いていた。
「こないで!逃げて、ここにイノセンスはな・・」
最後まで言い終わらないうちに、先端の尖った蝋燭がの首筋を掠めた。
細い首筋に淡い赤色の筋が出来る。
「ー?どうしたのぉ?はやく・・・あー、仲間がいたんだぁ」
――・・その任務の時、ノアがいたらしい。
子供のような見た目姿で、語尾の延びたしゃべり方で・・。
それってロードじゃないですか?
あぁ、そんな名前だったかもね。
ちゃんはその子の事どう思ってるんだろうね。
最 愛 の 恋 人 と 仲 間 を 目 の 前 で 殺 さ れ た ん だ か ら 。
「アレン、逃げて。今私と貴方は仲間じゃないの」
は冷たい口調で言い放った。
「な、何言ってるんですか!?」
なぜだか怒った口調で僕は言った。
「僕はのなか・・」
「仲間は要らないの。独りが好きなの。もう誰も巻き込みたくないのッ」
一気に言い切ると、は僕と視線を合わせた。
綺麗な色の瞳が揺らいでいた。
「だれも死なせたくないの」
あぁ。
僕と同じだ。
はもう、僕の言うことなんて聞いてくれないだろう。
大切な誰かのために、自分の命を投げ出すんだ。
何の躊躇いもなく。
でも僕だって大切な人をなくしたくなんてないんです。
「ごめんなさい」
貴女を守りたいんです。
もうこれ以上自分を責めて欲しくないんです。
「僕も戦わせてください」
貴女はきっと駄目だって言うでしょう?
でも僕も貴女のお願いを聞いてあげられそうにありません。
・・・僕も貴女もきっと自分が傷つかないようにしているだけなんです。
、貴女を真っ紅な海の中から助けられるのなら、僕だって命を投げますよ。
でもそれじゃあは喜んでくれないって知ってますから、
「二人とも生きて帰るんです」
暗闇はどこまでも続いているだろう。
でも月明かりが一つあれば、
前にも進めるのかな。
もう星もない夜空を見上げなくてもいいのかな・・・。
完結です。
この先どうなったかは、あえて書きません。
ちょっとグロイ?血とか、死とか、殺とか大量に使ってしまって、苦手な方スイマセンでした;
私が願うのは、やっぱりハッピーエンドですかね?(笑)
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