「初めまして、マスター」
それは君からの第一声。
低めで男の人らしく、そしてとても・・・綺麗な声だった。
Hello My Master!
「あーあー・・・あっー」
「・・・むー・・・ちょっと違うんだよな」
喉元に手を当てて、発声をするカイト。
声質は悪くないのに音程がどうしてもずれてしまう・・・言わば音痴な彼。
私は腕を組みながらベッドに腰を掛けて、カイトを見つめながら首を傾げた。
「あーあーっ・・・♪」
「そこ、また外れてるよ」
「あっ、はい」
はっとしたように一瞬肩を揺らし、カイトは少し眉間に皺を寄せて再度同じところを歌った。
やはり少しずれていて、私はうーん、と言葉を濁した。
「あーっあー・・・あー・・・・・・」
「・・・カイト、ちょっと休憩しよう」
「あ、・・・・・・はい。マスター」
私の声にカイトはシュンとしてから私の隣に腰を掛けた。
頭を項垂れさせて、青い瞳は閉じられた瞼によって伺うことはできない。
「・・・カイト・・?」
「・・・・・・」
「・・・・・・、」
黙ってしまったカイトに、私はいつもかける言葉をみつけられない。
つられるように黙ってしまう。
・・・申し訳ない。
指導力不足の私のせいで、カイトは思うように歌唱力をつけられないのだから。
「・・・・・・マスター」
「ん・・・?」
項垂れた顔を上げて、視線を合わせるカイト。
その目は思いつめたように揺れていた。
「ごめんなさい」
「・・・えっ・・・?」
「俺が力不足だから・・・、マスターが頑張って指導してくれても・・・・・上手くなれない」
「そんなことっ・・・!!」
思わず上ずった大きい声を出してしまった私に、カイトは黙ったまま小さく笑い返した。
その笑顔が切なくて、胸の奥がギュウッと締め付けられる。
喉元に込み上げる言葉にならない思いが、苦しい。
「そんなこと・・・っ、・・・ない。カイトは、カイトは頑張ってる、素質もある・・・なのに!!」
抑えた声も、興奮した気に負けて最後は叫ぶようになってしまった。
その声にカイトは驚いて目を丸くする。
「私、音楽の経験なんてないし・・・でもカイトの力になりたくて・・・。・・・カイト、・・・ごめんね」
「マスター・・・」
「力不足なのは・・・私のほう。駄目なマスターで・・・ごめ」
「」
ぎゅうっと頭ごと包まれるようにいきなり抱きしめられ、驚きに身を硬くした。
優しい声で名前を呼ばれ、ぎゅうっと胸が締め付けられる。
「のせいじゃないよ。ありがとう、俺がんばるから」
「カイト・・・」
“マスター”ではなく“”と名前で呼んでくれるとき。
それはレッスン以外の時間。
「・・・うん」
カイトを見上げ頷けば、カイトもニコッと優しく笑んだ。
青い髪がふわりと揺れる。
「・・・んー・・・」
「ん?」
「って抱き心地いいよねー」
「!! は、離しなさいっ!!またレッスン始める!?」
「えー!!今日はもう終わりじゃないの!?」
ぐいーっと腕を突っぱねてカイトの体を押し離すと、カイトは嫌嫌と私の体を引き寄せながら情けない声を上げた。
「だぁああ!!離してよ!!」
「だって今はマスターじゃなくてでしょ!!いいじゃーん!」
「あんまり我儘言うと、アイス食べちゃうよ!?」
「う、うわー!!卑怯だー!!」
グッと固まってから、眉を下げて目をうるうるとさせるカイト。
頭の中で大葛藤しているようで、下唇を噛みながら私を見つめてくる。
「・・・・・〜〜っ、」
「・・・・・・ほらほら、早くしないアイスが・・・」
「い、いい!!」
「へ・・・!?」
「今日はを抱きしめていたいんだ!!」
「カ、カイト!?」
グイッと一気に引き寄せられたかと思うと、再度すっぽりとカイトの胸の中に納まった。
背中にまわされた腕は優しく、でも力強く私を抱きしめていて。
ふぅっと一つ溜息をつくと、仕方がないと小さく笑った。
「あぁあ。後悔したって、知らないから」
「いいの!」
本当は少し惜しいのだろう、すんっと鼻を鳴らすカイトがなんだか可愛くて。
・・・私はきっと甘やかしてしまうのだろう。
『 俺の名前はKAITO。
あなただけのVOCALOIDです。
俺に歌を、教えてください。
あなたのために・・・歌わせてください
マスター 』
カイト、私はあなたに会えて本当によかった。
私のVOCALOID。
やってしまいました・・・!!
VOCALOID、KAITOの夢!!
兄さんが好きすぎて好きすぎて!!
だってあのアイスお馬鹿可愛いんだもん!(おい
VOCALOID・KAITOを知らない方は是非「PIAPRO」というサイトにアクセスしてみてくださいませ。
あと一番わかるのはニコニコ動画にアクセスすることです!
勢いに任せて書いてしまったので、今後書くかはわかりません。
愛が上昇したらまた書いてしまうかも・・・。
ちなみに私はVOCALOIDを持っていません。
音楽センス皆無なので・・・orz
誰かKAITO好きの同士様、いらっしゃいませんか!!
2007.12.28
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