ただいま
「ぐぁばッッ?!」
「「「(・・グァバ?!)」」」
列車が教団から最短の駅につくとほぼ同時には目を覚ました。
少々不明なことを叫びつつ、疲れているのか瞳はまだとろんとしている。
「・・・ここ、どこ・・?」
「列車の中さ。ちょうど駅に着いたとこ」
の前髪をそっと撫でつつ、ラビは優しく言った。
内心、ポヤッとしたの可愛らしい表情にドキドキしていることは言うまでもない。
「・・そっか。もう着いたんだ・・・んーッ・・まだ眠いなぁ」
グイーッと伸びをしてから、立ち上がろうとするに近づくのは神田。
に手を伸ばしたかと思えば、ひょいッと持ち上げた。
「うわぁ?! ちょ、神田・・?!」
慌てふためくをよそに、平然とした顔の神田は、さっさと歩き出した。
「神田、大丈夫だから!降ーろーしーてー!」
わたわたと暴れるに少し顔をしかめながら、神田は列車からホームに降りる。
「お前は疲れてるんだろ?少しは静かにしろ!」
「だからって、これは・・その恥ずかしい・・です・・から」
「・・・なら」
ひょいと地面にを降ろすと、に背をむけ中腰になる神田。
それが意味するのは、
「・・・おんぶ?」
「・・・ッ、ほら早くしねぇとまた抱えるぞ!!」
「は、はいッ」
ガバッと神田の背中に飛びつくと、ふわりと身体が浮く。
―…さっき、神田・・・照れた?
「・・・へへ」
「・・・何笑ってんだ」
「なんでもない・・!」
神田の背中に頬をあてると、歩くたびに心地よく揺れる空間が、ゆっくりと眠気を誘った。
―…なんだかんだ言って、心配・・してくれてるんだよね。
は再びゆっくりと眠りに着いた。
「・・・神田・・・僕達のこと忘れてますよね?」
「完璧、二人の世界さー」
「壊してやりたくなるわよね」
「「・・・・・・」」
教団までの帰り道。
今だけは神田に譲ってあげようとおもう三人の心遣い。
「いえいえがゆっくり眠れるようにですよ♪」
・・・だそうで。
「あぁ、おかえりー・・・なんて格好なんだくん!!」
教団に着くやいなや、出会ったのはコムイ室長。
医務室に向かおうとしていた神田は、その登場にあきらかに嫌そうな顔をした。
スリッパをピコピコ言わせながら、珈琲片手に近寄ってくるコムイ。
「・・・な、なんて愛らしいドレス姿なんだ! カメラ、カメラ!!リーバーくぅぅうん!!!」
「うるせぇ!!が起きんだろ!!」
「神田が一番うるさいさー」
「そうよ。・・・ほら起きちゃった」
ピクッと体を揺らし、頭を上げる。
「・・・ふぁ・・。あ、おはよう・・・ここ、教団・・だね」
「そうですよ。お疲れ様でしたね!」
アレンはそう言うと神田からをひょいと奪い、まだがぼーっとしているのをいいことに医務室までお姫様だっこして行く。
抵抗するのが疲れたのか、教団なので安心しているのかはアレンに抱かれたまま、辺りを見渡した。
リナリーはアレンに笑顔で『に変なことしたらわかってる?』というオーラを出しつつ(には笑顔にしか見えない)任務完了の報告に向かい、
ラビは何時の間にか、いなくなっていた。
後方からはコムイのカメラコールと、神田のもやしぶっ殺すコールが響き渡っていた。
「痛た・・。なんだか消毒する時が一番痛い気がするんだけど・・・」
「あはは、そんな子供みたいなこと言ってちゃ駄目ですよ」
の隣りに座り、消毒しているところを見ていたくないのか、こっちにずっと顔を向けているを笑った。
・・・そんなところも可愛いな、と思いながら。
「そんなこと言ったって・・つぅッ・・・。でも任務無事終わって本当によかった!誰も怪我しなかったもん!」
笑顔で自慢げに言う。
あぁ・・もう。
なんでこの人は・・・自分のことは二の次なんだ。
「・・・はぁ。何言ってるんですか?がこんなに怪我してるのに、よくないですよ・・!!」
「ご、ごめんなさい・・・!」
「あ、いや別に怒ったわけじゃないんですよ!・・・・ただ、」
は優しすぎるんだ。
仲間のことを考えすぎて・・自分をもっと大切にしなくちゃいけないのに。
「ただ・・・もっと僕たちを頼ってください」
が驚いた顔をしているのがわかった。
でも本当のことなんです。
僕は貴女より年下だけど・・・だけどを守りたいんです。
「はい。・・・心配かけてごめんなさい。それに、ありがとう」
は笑ってた。
あの輝いている笑顔で。
僕もつられて笑顔になる。
「・・・じゃ!今日、明日は思いっきり遊んじゃお!私、アレン君ともっと仲良くなりたいし!」
「・・・。はい、僕もともっと仲良くなって・・・」
――“今以上の存在”になりたいです。――
「・・どしたの?さ、早く行こうアレン君!」
消毒が終わったは、アレンの手をつかみピョンピョンと跳ねるように歩き出した。
少し汚れてしまった白いドレスの裾が翻る。
明るくて、優しくて、そして・・鈍感で。
皆がを狙っていること・・・貴女は気づいてるんですか?
アレンは困ったような笑顔を浮かべ、
「ま・・そんなところが可愛いんですけど、ね」
と小さく呟いた。
その頃・・・。
「よし、カメラの準備は完☆璧・・・あれ?くん?くぅぅん!!」
「コムイ室長・・・本当に帰ってきたんですか?とうとう幻覚なんじゃ・・・」
コムイとカメラを抱えたリーバー班長、それにが帰宅(しかもドレス姿!!)と聞きつけてやってきた教団員が集まっていたことを、
二人は知る由もなかった。
久しぶりの更新!
やっと平穏な日々ですよ、様v
任務はしばらくお休みして、しばらくはゆっくり・・できますかね?(笑
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