「好きなんです」


今まで聴いた言葉の中で


一番輝いてた言葉。


「僕と付き合ってくれませんか・・?」


今まで聴いた言葉の中で


一番嬉しかった言葉。


でも今はそれよりも、くしゃ・・・
















Clover T





















「あら、おはよう。


澄んだ綺麗な声が私の耳に届いた。


食堂のテーブルに突っ伏していた顔をダルそうに上げれば、ツインテールが可愛らしい

教団のアイドルことリナリーが輝かしい笑顔でそこにいた。



「あぁ・・・リナリー。・・おはよ」


どよんと暗い声で一言挨拶するとは再び顔をゴンッとテーブルに置いた。


「・・・。 ・・?何かあった?」

朝食の乗ったトレイをテーブルに置きながらリナリーはの隣の席に座った。

心配そうに顔を覗き込めば、泣いてはいないものの今にも泣き出しそうなの顔がそこにあった。


・・!? ヤ、ヤダ何があったの!?」


「・・・・〜〜リ、リナリィ・・」


リナリーの名前を震える声で呼ぶと、堪えていたものが弾けた様に

は瞬きもせず瞳から涙を零し始めた。






























「・・・そう。そんなことがあったのね」


リナリーは何かを考えるようにテーブルを見つめ、それから


が悪い」


と大きな瞳で私をしっかりと捕らえて、そう言い放った。

私も視線を逸らすまいとリナリーを見つめ返した。


「わかってる、よお・・! だ、だからっど・・どうしよぉって・・聞いて・・」


しかしこまで言うと、はうりゅっという効果音でも着きそうなほど顔を歪めて再び泣き始めた。


「うわああ・・どうせ私が悪いよお・・!でも、わかんないんだもん・・」


ガンガンと額をテーブルに打ち付けるの肩を抑えながら、リナリーは呆れた表情でまったくもぅと小さく言った。


「・・・だからってねぇ、告白されて嬉しくて何も言えなくてなって、

 その上くしゃみが出そうになって、その顔を見られたくないから逃げ出すなんて・・・はっ!!」


「・・・・・」


最後にまるで神田の様に鼻で笑ったリナリーにはどこか腹黒さを感じつつも、

リナリーが自分のことを本気で考えてくれていることはわかっていた。



「馬鹿ね、アホね、臆病で間抜けね。そうよ、はいつもどこか抜けてて肝心な時に駄目になるの。

 ・・・でも、それでもねはいつも最後までやりぬくじゃない」


顔を見なくてもわかる。

今、リナリーがどんなに素敵で優しい笑顔をしてるかぐらい。



「私は知ってるわ。がどれだけアレン君のことを好きか。がどれだけいいこか。

 だから、には幸せになって欲しいの。・・・ね?」


私は再び涙が溢れてくるのがわかった。

嬉しい、なんだか暖かい涙だった。




できる。大丈夫。がんばれ。



そんな言葉より私が欲しい言葉をちゃんとリナリーは知っている。





次はやれる。絶対に成功する。


そう思えた。


































朝食をとっていたはずなのに、時刻はまもなく12時になろうとしている。

空いていた食堂に朝よりも活力の多いざわめきが少しずつもどってきた。


探索部隊、科学班、探索部隊、探索部隊、科学班、医療班、エクソシスト、探索部隊、探索部隊。


食堂の入り口を睨んでいれば、入ってくる人はやはり探索部隊が一番多い。




「あああぁぁあぁぁあ」


「・・・」


「うぁぁああぁぁ」


「うるさい!静かに待ってなさいよ。今日はアレン君任務ないんだから、絶対くるわ。

 それと、貧乏揺すりもやめ!!」


ぺチンッといい音を鳴らしてリナリーがの足を叩いた。


「痛っ!」


「来た!」


が叫び終わらないうちにリナリーが入り口に目を向けたまま小さく叫んだ。

そこには白髪の少年がカウンターに向かって歩いていた。

一目でアレンだとわかる。


「・・・・・」


その姿を見惚れるように眺めていた私にリナリーの掌が勢い良く背中を叩いた。

「ほらっ!」


自然に一歩足が踏み出され、私は一度リナリーの方に振り向いた。


笑顔だった。





やるしかない。

もう逃げない。


私はアレンが好きなんだから。






足は感覚がなくなっていた。

なのに歩き出せば、吸い寄せられるようにアレンの元へと向かっていった。






















「・・はぁ。なんかアレン君が羨ましいなぁ。・・・な〜んてね」

リナリーはクルッとカウンターと反対の出入り口に歩き出した。


































アレンは既にカウンターから昼食を受け取り、テーブルに5〜6人前はありそうな食事を広げていた。

隣にはコムイ室長が座っていて、何か二人で話している。


やっぱり足は止まってしまった。

心臓がおかしいほどバクバクと鳴り、苦しくなってきた。



「・・すぅ・・・はぁっ」


一つ小さく深呼吸をして、ごくりと唾を飲み込んだ。


いざ。












10メートル・・・・9メートル・・・・8メートル・・・


コムイに向けていたアレンの顔がまるで何かを感じ取ったかのように、こちらへと向いた。

ゆっくりと・・・まるでスローモーションをかけているように・・・。



私と視線がぶつかったアレンの瞳が大きく開かれる。


逸らしてはいけない。



周りの音が聞こえなくなった。






気づけば私はアレンの座っている席の目の前まで来ていた。

足の感覚はない。


「・・・昨日は・・すいませんでした」

最初に口を開いたのはアレンのほうだった。

悲しそうに合っていた視線を落とし、笑顔を精一杯作って。


胸が締め付けられるようなその表情に私は口を開いた。


「・・・っ「いいんです。言わないでください」


俯いたままのアレンは大きめの声での言葉を遮った。


「何も、言わないでください・・・」

「いやよ!!」


はいっそう大きな声で叫んだ。

瞳には涙が今にも零れそうに溜まっている。



「なんで、なんで言わせてくれないの!?

 私は・・・私はアレンが好きだっていいたいのに!!」


アレンの表情は驚いていた、むしろ固まっていたのかもしれない。


「ずっと前から好きだったよ!アレンがここに来てから、話してから・・・ずっと」



顔が赤くなっているだろうとも思った。


人が見ているだろうとも思った。


でも関係ないと思った。




「本当・・・です、か?」


アレンのどこか不安の残っている疑問系の言葉に

大きくうなずく。



「本当ですか・・!?」


「へゃっ!?」


明るい声が聞こえたかと思うと、はアレンに抱き上げられていた。


まるで小さい子がしてもらう高い高い状態のは恥ずかしがりながらも嬉しそうに笑った。



「本当です!」




自分より下の位置にあるアレンの顔に手を伸ばせば


アレンはを自分の目線まで下げて


どちらもが望んでキスをした。

























「はい、はい♪二人ともラブラブでいいんだけど場所を考えてね〜」


コムイが手をパンパンッと叩いてニヤニヤとしながら、こちらを楽しそうに見ていた。


「「あっ」」


見れば、ジェリーを始め食堂にいる人は全員といってもいいほどとアレンのやり取りを見物していた。



思わず顔を見合わせれば、お互い顔が真っ赤になっている。

クスクスと小さく笑った。優しい笑顔だった。


























これから宜しくね。


大好きなアレン



























可笑しいけれど


本気の


恋の物語は


やっと幕を開けました・・・!





























以前に管理していたサイトから移動してきたものです。
短期連載という形にしようと思っています!
続けられるのやら・・。


+++++++++以前のあとがき
こんなものを最後まで読んでくださった方本当にありがとうございます!
感謝感謝ですよvv
この連載はアレンメインのはずなのに、リナリー大活躍!になりました。
アレンほとんど出てません。アハハ。
まぁ序章という感じに思ってもらえれば光栄です(?)


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