甲高い声と熱狂に、眩暈がする。






















―第夜―


























「はい、はい!下がって下がって!」


優姫の元気な声が響く、月の寮前。

女子生徒を抑えながら大変そうな優姫。

私は一つ溜息をついた。


「・・・・なんであんなに元気なの」


私がいる辺りは比較的静かでよかった。

あんな勢い、私が抑えられるわけがない。・・・面倒だし。



「皆さん。門が開いてもいきなり騒がないでくださいね」



は振り返り、ニコッと笑って告げた。


「あ、はい!もちろんです!」

様にご迷惑なんてかけられません!」


そこにいた女子達は顔を赤くしながら、こくこくと頷く。

明らかに優姫のところにいる女子達とは反応が違っていた。


「そう、・・・ありがとう。(・・様?)」


はもう一度ニコリと微笑むと、その反応をあまり気にすることもなく門に向き直った。




様・・・普通科なのに、まるで夜間部の皆様のように綺麗ですよね!」

「それに優しいし・・!」

「うんうん!最近は夜間部より様に会いに来ているようなもんだよね」



の後方の女子達はキャッキャと嬉しそうに話す。

の知らないところでこんな会話がされていることなど、は全く知る由も無かった。

ただ、・・最近自分の周りの女子達は、静かにしていてくれる親切な人が多いな、ぐらいにしか考えていなかった。










・・・眠い。



・・・眠い。





あー・・大変だ。








「キャーッ!!」



「・・・!」


がうつらうつらしていた時、月の寮の門が開いた。

一層響く、甲高い声。

パッとすぐさま優姫を見れば、案の定熱狂した女子達に負けて転んでいる。


「・・・ゆう・・ッ!!・・・・・ぁ」


走り出そうとした右足を、キュッと止め

視線を逸らす。





――ドクン






・・・・優姫は大丈夫だ。

玖蘭・・枢が、優姫を、助けてくれたから。





今、私は、騒いでる、女子を、止めなくちゃ。






「・・・はい、騒がないでー!下がってねー! 夜間部の皆さんに迷惑かけたくないでしょうー?」



一呼吸おいて、少し声を張り上げた。

うッと、後ろに下がる女子達。

この間に・・・早く学校に入ってくださいよ、夜間部の皆さん。







それにしても・・・今日は本当・・・眠い。


そろそろ・・・やばいかな。










「大丈夫?眠そうだね」






「・・・・え?」






頭にぐわんと何かが響く。







「・・・?」










そうこれは・・・玖蘭枢の声、だ。












「・・・ッ だ、大丈夫ですよ!?それよりも早く校舎に入ってください!枢、・・先輩!」



「・・・・。、辛くなったら・・・」



「授業が始まりますよ・・・玖蘭先輩」



「零・・!?」


私と枢の間に入り、枢を睨みつけるように見る零。

枢は一度、何かを言おうと口を開くが、私の顔を見て・・・校舎に向いた。



「恐いね・・・風紀委員さん」



そういい残して校舎に消えていく、枢。

これで・・・いいんだ。

















これで、
































いいんだよね・・・




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